2013年5月10日金曜日

Benito Perez Galdos nació ベニート・ペレス・ガルドス誕生(1843年) 国民的作家

本日が誕生日である ベニート・ペレス・ガルドス(Benito Perez Galdos、1843年5月10日-1920年1月4日)は、ミゲル・デ・セルバンテスに次ぐ名声を持ち、スペインの写実主義を代表する小説家なのであります。

Benito Perez Galdos は大西洋の グラン・カナリア島のラス・パルマス・デ・グラン・カナリアで生まれましたが、19歳の時にマドリードに引っ越して生涯の大半を過ごしました。スペイン国内で Benito Perez Galdos の最も人気のある作品は、46巻からなる『国民挿話』Episodios nacionales や『フォルトゥナータとハシンタ』Fortunata y Jacinta ですが、国外では Novelas españolas contemporaneas の方がよく知られているようです。

初期には、文献調査を行って歴史上の人物と架空の人物が登場する作品を書いていました。オノレ・ド・バルザックの小説のように、何人かの登場人物は別の小説にも登場するわけです。1805年から19世紀末までを描いており、Benito Perez Galdos の急進的で反聖職者的な視点が垣間見えます。1876年の Doña Perfecta は、急進派の若者が抑圧的な反聖職者の街を訪れる話です。1878年の Marianela は、盲目の若い男が視力を取り戻し、親友の マリアネラ の容姿の醜さを知って拒絶する話です。1888年の Miau は、政権交代によって公務員の父が失業して見栄張りの家族が生計を失い、結局は彼を殺害する話であります。

1886年から1887年に書かれた Benito Perez Galdos の傑作が Fortunata y Jacinta です。レフ・トルストイの『戦争と平和』とほぼ同じ長さで、若い遊び人とその妻、その下級生の女主人とその夫という4人の登場人物の運命を描いています。1891年の Angel Guerra は、敬虔で手が届かない女性をものにしようとする男が、その過程で不可知論からカトリシズムに変節する物語です。

1886年には、首相のサガスタが Benito Perez Galdos をプエルトリコのグアヤマ選出の国会議員に指名しました。Benito Perez Galdos はその地を訪れたことがありませんでしたが、状況を聞かされ、住民の適切な代表にならなければいけない義務を感じました。1897年、Benito Perez Galdos はスペイン王立アカデミーの会員に選ばれました。1907年には共和党の代議士となりました。1912年に視力を失ってしまいましたが、生涯に渡って口述で著書を書き続けました。Benito Perez Galdos は1920年に76歳で亡くなりました。死の直前、マドリードで最も有名な公園であるブエン・レティーロ公園に、全額を市民の寄付で賄って、Benito Perez Galdos の名声を称える像が完成しました。Ernesto Mr. T は ブエン・レティーロ公園を訪れる場合は いつも この銅像の前でしばしの時間を過ごします。

Benito Perez Galdos は多作家で、31の小説と46の『国民挿話』、23の戯曲、20巻分の短編、報道記事、その他を書いきました。Benito Perez Galdos はスペインで現在でも人気があり、「ガルドシスタス」galdosistas と呼ばれる Benito Perez Galdos の研究者は、Benito Perez Galdos をチャールズ・ディケンズ、オノレ・ド・バルザック、レフ・トルストイと並ぶと考えているほどです。1950年代から、Benito Perez Galdos の作品のいくつかは英語にも翻訳されていますが、残念ながら、英語圏ではまだそれほど読まれていません。日本でも幾つか翻訳は出ていますが、そもそも日本人はスペインの小説を、たとえどんな名作であろうと、あまり読まないようなのです。悲しい現実です。

Benito Perez Galdos の戯曲は、一般に小説ほどは成功しませんでした。1892年のRealidad はスペインの写実演劇の歴史で重要な位置を占めていますが...。

Benito Perez Galdos の小説は、映画化もしばしば行なわれています。エルシー・ジェーン・ウィルソンの1918年の Beauty in Chains (Doña Perfecta)、ルイス・ブニュエルの1961年の『ビリディアナ』Viridiana は Halma を基にしています。ブニュエルはまた1959年に Nazarin、1970年に『哀しみのトリスターナ』 Tristana も撮影しています。

ラス・パルマス・デ・グラン・カナリアのガルドス博物館(Ernesto Mr. T もかつて訪れました)には、ホアキン・ソローリャの描いた肖像画が展示されています。また、1982年より発行されていた1000ペセタ紙幣に Benito Perez Galdos  の肖像が使用されていました。

ご意見、ご質問等ございましたら、<ernestotaju@yahoo.co.jp へ。